Episode さんびゃくよんじぅごぉ 『戦場カメラマン、危うし』 (2011・6・2)頼んであったメガネを取りにショッピングモールに行くと、一階の広場にものすごい人だかりが・・・。 戦場カメラマンの渡部陽一さんのトークショーがあるということなので、そういうことなのか、とフラリと立ち寄ってみた。 司会者の挨拶のあと渡部さんが登場すると、「ワ〜!」「キャ〜!!」 もう、アイドルのノリです。 渡部さんはその場の人たち全てに目線を配り、独特なジェスチャーでゆっくりと大きな声で話し始めた。 始めは、彼の一挙手一投足に過敏に反応していた観客も、戦場での壮絶な体験に話が及ぶと、 いつしか会場の笑いは消え、その話に引き込まれていった。 戦地で少年兵に銃を突きつけられ殴られたことや、イラクで拉致されそうになったが、雇っていたSPに間一髪助けられたことなど、 まず一般人が体験できない話に驚いた。 以前、私はイラクで公演したことがあったが、湾岸戦争が起こる前の話で、その時は平和そのものだった。 現在のイラクは、誰が敵でどこで自爆テロが起こるかわからない。 修羅場をくぐってきた人というのはどこか違う。 トークが終わり、マイクを手に女の子が質問した。 「朝は、なに食べたんですか?」 「明太子おにぎり・・・2個と・・・缶コーヒー・・・です!」 渡部さんは、その子の目を見ながらやさしく答えた。 テレビで見るよりもさらに丁寧に子どもに接し、自分のサイン色紙をプレゼントされていた。 周りの人たちの目は、「サインもらってよかったわねえ。よしよし。」ではなく、 「あたしかて欲しいわ!」・・・のようでした。 トークショーが終わり、渡部さんが退場することに。 たまたま私がいる方向へ歩いて来られたが、今までお行儀よくしていた観客の皆さん、人が変わったようにドドドッと渡部さん目掛けて突進してきた。 「こっち向いてぇ〜、わたなべさ〜〜ん!!」 関西の“おばちゃんパワー”である。 携帯カメラをガンガン向けて、もう新興宗教の教祖様に群がる信者のよう・・・。 私までもが人の渦に巻き込まれ、アレ〜〜状態。 私と50センチまで最接近した渡部さんの表情は、笑顔とともにこわばっていた。 パニック寸前の中、ようやく控え室へと消えていった渡部さん、 「戦場よりも怖かった。」と言ったとか言わなかったとか。 “修羅場”をかいくぐった渡部さん。本当にお疲れさまでした。 |
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